Y-SDGs認証事業者が挑む!途切れない、つながる子ども支援とは

ALOHA—! 

コーディネーターの竹田有里です。

知人の結婚式出席のためハワイの離島に行っておりました。

実はここハワイ州では、2015年に全米で初めて「2045年までに電力の100%を再エネから供給する法案」が可決されました。

確かに、丘の上には風力発電が、海上には洋上風力発電が、そして家庭の屋根には太陽光パネルが設置されるなど、島の至る所で再エネ発電の設備が整備されているのを目にします。

 

一方で資源調達、建築、解体といった事業活動の流れの中で多くのCO2を排出する建設業。

ハワイだけでなく日本の企業でも再エネや脱炭素化などへの取り組みを加速させています。

さらに、先進的な建設業の中には、「環境」だけでなく事業を通して、持続的な「地域社会」の発展のための活動も実施しています。

 

今回は、Y-SDGs「Superior(上位)」認証を受けた大豊建設の取り組みをご紹介します。

大豊建設(本社:東京都中央区)は、国内外に事業所を展開する昭和24年(1949年)設立の企業で、来年75周年を迎える、あのレインボーブリッジの基礎工事を担った土木建築のスペシャリストです。

大豊建設企画本部コーポレートコミュニケーション部ESG推進課の中西未樹さんにお話を伺いました。

 

竹田:「大豊建設さんは2022年11月にY-SDGs認証「上位」事業者に認証されました。防災・減災事業、木質化・高齢者向けマンションの建築事業、グリーン電力への転換などへ積極的に取り組んでいると聞いています。中西さんが所属するESG推進課でも地道なSDGsへの取り組みが話題になっていると伺いました!」

中西さん:「当社では2021年4月にESG推進室(2022年1月に企画本部コーポレートコミュニケーション部ESG推進課に再編)を設置しましたが、私を含めて3名しかいない部署なので、できることから始めようということで、まずは本社ビルのBCP(事業継続計画)備蓄品のこども食堂への寄贈からはじめました!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

竹田:「BCP備蓄品の寄贈ですか?」

中西さん:「はい、認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえさんを通じて中央区にある地域の居場所としてのコミニュティファーム活動やみんなの食堂などを展開している『勝どき枝豆プロジェクト』と無料の学習支援や居場所支援/体験活動などを展開する『認定NPO法人キッズドア』に弊社のBCP備蓄品約750点を寄贈しました。新たなBCP備蓄品の入れ替え時に合わせ、MOTTAINAI精神と支援を必要とするこどもたちのために少しでも貢献したいという声から実現しました。」

竹田:「コロナ禍で全国のフードバンクやこども食堂などで食料品が寄贈されても必要とする方が想像以上に多くすぐになくなってしまうとよく耳にしていました。寄贈した備蓄品って例えばどんなものでしょうか。」

中西さん:「ビスケットや五目ご飯、ドライカレー、チキンライス、そして長期保存用の水などです。賞味期限2ヶ月は残して、期限の3ヶ月以上前から動き出して寄贈しています。緊急事態が発生した際に、対策本部のメンバー60名が本社ビルに3日間滞在できる食料品と飲料水の貯蓄量となるため、かなりの数の非常食を保管しており、ちょうど備蓄品の入れ替え時期に寄贈しています。」

 

竹田:「消費者庁では自治体などにある災害時用備蓄食品のうち、賞味期限を過ぎても食べられると判定した食品を新たに『使用期限』を設定し、こども食堂などに提供する取組みを推進していますので、寄贈した食料品などは急いで食べてもらう必要もありませんね。」

 

中西さん:「ただ、BCP備蓄品は通常、5-10年のスパンで入れ替えしていくものですので、こども食堂に対して、持続可能な支援ができない悩みが出てきました。困っているこどもたちの力に、建設業を営む企業として継続的に何かできないかと模索していました。そこで思いついたのが『こども食堂支援自動販売機』です。」

竹田:「今私たちがいる大豊建設さんの本社にも支援自動販売機が設置されていますが、そちらにはカラフルな色彩のデザインで右横に『むすびえ』と記載されています。この自動販売機はどういったものなのでしょうか。」

 

中西さん:「当社の事業のメインになっているのは、土木・建築工事の現場管理です。現場管理のため、作業所を立ち上げると、ほとんどの場合、現場で働く、職人さんのために自動販売機を設置します。その自動販売機の設置メーカーであるコカ・コーラ・ボトラーズジャパンのご協力もあり、BCP備蓄品の寄贈の際にお世話になった認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえさんに売上金の一部が寄附される仕組みになっています。」

竹田:「デザインもピンク、イエロー、ブルーの3色が使われ、元気が出ますね!」

中西さん:「むすびえ、大豊建設、コカ・コーラ ボトラーズジャパンの3社でデザインを制作しました。3色はむすびえのロゴから“こども食堂” “こども食堂の支援者” “未来の子どもたち”の3者を意味し、その思いを少しでも共有してくださる方がここで結ばれ、彩のあるやさしい未来をつくりたいという思いを込めてデザインしました。『あなたの一杯が子どもたちの未来につながる』という言葉も添えています。こども食堂支援自動販売機は、全国の支店や工事現場の作業所にも順次拡大していく予定です。今はまだ高額の寄附にはなりませんが、少しでも子どもたちのお役に立てればと思っています。」

竹田:「いただいた資料画像を拝見すると先ほどの支援自動販売機でしょうか。そこに子どもたちの絵画がラッピングされていますが、こちらはどんな取り組みでしょうか。」

中西さん:「“こども食堂とはどんな場所なのか多くの人に伝えたい”、“コロナ禍で思うように遊べなくなった子ども達の思い出に残るイベントを作りたい”という思いで、むすびえで企画されたプロジェクトが『全国こども食堂絵画展』です。

募集期間が約50日と短期間でしたが、全国の子どもたちから計140枚の絵画が届きました。

私がこれらの絵画に感動して、むすびえさんに『こども食堂支援自動販売機』のリサイクルボックスに『ごちそうさま!賞』受賞27作品をラッピングさせていただけないかとご相談したところ、こども食堂に集まる子どもたちの為になるならとご了承いただき、現在のデザインになっています。これからもこども食堂の支援を通じて誰も取り残さない社会を構築していきたいです。」

竹田:「大豊建設さんをはじめ今では子ども支援の取り組みが増えていますよね?」

中西さん:「『こども食堂支援自動販売機』は、大豊建設だけの取り組みだけではなく、同業他社様やお施主様にも広がりを見せています。ご興味を持っていただいた企業様は当社にご連絡をいただければ、詳しいご説明をさせていただきます。『こども食堂支援児童販売機』が、一人でも多くの方のこどもの貧困に目を向けるきっかけになっていただければ幸いです。」

 

 

 

東京や横浜の大都会でも子どもの貧困は深刻な課題となっています。

厚生労働省の調査によると、日本の子どもの貧困率(2018年)は13.5%。さらにひとり親家庭の貧困率は48.1%と、先進国の中でも最悪な水準だと言われています。

子どもの貧困対策は行政支援だけでなく、民間企業の皆様の力も不可欠であり、継続が重要です。

大豊建設などの活動に賛同する企業が増え、支援の輪が広がってほしいと思います。

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